ほぼうさ’s diary

ロジカルオシレーターほぼうさのブログです

誰かと思えばKenkenでした

誰かと思えばKenkenでした。
「Dragon Ash」メンバー、大麻所持容疑で逮捕
https://www.asahi.com/articles/ASM7N21LCM7NUTIL001.html
大麻だと何となくわかっていたが、拾ったもの」←NEW!!

 

Kenkenはもう既に10年以上、若手ベーシストのカリスマとして君臨し続けている。主な所属バンドは「RIZE」だが、どちらかというとベーシストのいないバンドやシンガーソングライター、アーティストのサポートをすることが多い。「きれいなロン毛と激しいステージパフォーマンスで、画がもつ」という理由で、テレビをはじめとしたメディアの仕事と非常に相性が良かった。
そして、彼のもう一つの大きな特徴として、二世芸能人だということ、つまり両親もミュージシャンであったということである。音楽一家に生まれたKenkenは、幼少期から音楽の英才教育を受けてきたと考えられている。そして一般には、その才能の向かう先がベースという楽器であったとも受け止められている。


それらのエピソードが端的にわかる、非常に面白い動画があるので、そのURLも貼っておく。
https://www.youtube.com/watch?v=3kLQOQzxUJc

 

しかし残念ながら、この動画を見ると、ぼくは前言を撤回するか、もしくは修正することを迫られてしまうことになる。彼は音楽の正規の教育をあまり受けてきたとは言えない。彼のストーリーは、実際には音楽一家に生まれたのだから、きっと英才教育を受けてきた「であろう、という大衆の期待」のよって支えられていることが痛いほどわかる。


彼の演奏をよく見ると、①速いスラップと、②同じポジションでの同音連打、③グリッサンド様の派手なポジション移動 の3つしか行っていない。一方、そのようなパフォーマティブとも言える演奏に比して、彼の使用している「音階そのもの」は実に単調であるばかりか、初等的な音楽教育(小学校、中学校)で習得できるようなものばかりだ。ぼくらは普通、このようなプレイヤーを「正規の音楽教育を受けている」「音楽の教養、素養がある」とはみなさない。代わりに、「お祭り騒ぎ好きな、お調子者」だと考える。

 

ぼくの意見を裏付けるには、もうひとつ動画を見ていただく必要がある。
https://www.youtube.com/watch?v=RROcHKYz47Q

 

RIZEのライブは、まさに彼らがお祭りの真っただ中にいることを強く証明している。少しもメロディを歌えていないボーカルが「おれよりうまくできるやつがいたら、上がってくりゃいいじゃん」と言い放ち、背中を聴衆に預けてダイブする。この光景は音楽のライブというより、まさに、「お金のかかった学園祭」に他ならない。伝統的な意味においての音楽はその姿を完全に潜め、代わりにお調子者が日常を忘れるための祭りを演出して飛び跳ねる。


驚くべきことに、実はこの「上がってくりゃいいじゃん」のボーカリストこそ、あの世界的ギタリストのCharの息子なのである。Charは音楽の伝統を重んじ、歴史をふまえながら技術を磨くことで世界に受け入れられるほどのギタリストになった。ところが、息子JESSEには、少なくともそのような音楽にたいする姿勢は見られない。KenkenとJESSE、どちらにも共通するのは、「上澄みをすくってオイシイ汁を飲み、お祭りに明け暮れるお調子者」の実態である。

 

いま、そのふたりが揃いもそろって大麻取締法違反で逮捕されている。ぼくがこの文章で主張したかったのは、これは伝統的な意味での「音楽と、そのインスピレーションをつなぐ触媒としてのドラッグ」を意味せず、単に「ハイになってお祭り騒ぎしたかっただけ」のものに過ぎなかった、ということである。

彼らは実際に30歳も越え、お調子者で居続けることが難しくなってきた。大麻での逮捕はその「祭りのあと」、「夢のあとさき」を、確かに告げるものだった。