ほぼうさ’s diary

ロジカルオシレーターほぼうさのブログです

結局のところ使っているシンセの話

ぼくはもともと、エレキギターがいるバンドでキーボード/ピアニストとしてやるつもりだった。だからシンセも音のヌケ、音の密度というところにこだわり、clavia社のNord Electroを購入したのだった。


Nordはかなり完成度の高いシンセである。軽量化と直感的に使用できるアナログつまみ、強烈に抜ける力強い音色たち、そして赤のカッコイイびじゅある。どこをとっても非の打ちどころがない。最近までずっと、国内シンセメーカーをさしおいてNord一強時代が続いていたのは確かだ。ところでこの頃KORG社より発売になったVox continentalはかなりNordを意識した後発品で、軽量&カコイイ見た目はNordを超えている気がする。こいつはいよいよNordの天下が幕を下ろすかもしれないというアツい展開で実に目が離せないが、しかしそれはようやく競合するような商品が生まれたということであって、Nordは素晴らしい最強シンセだという事実にかわりはない。


にもかかわらず、ぼくは結局のところ、NordではなくRolandの製品に落ち着いてしまいそうだ。


ぼくが持っているのはRoland RD-64というやつ。64鍵しかなく、音色もピアノ、エレピ、オルガン、クラビの4種類しかない。クラビは使い道がわからないので実質3種といっていいだろう。そしてピアノ音色はそこそこショボい。上位のRDシリーズに比べるとあきらかに目劣りするし、Nordとの差も歴然だ。Roland特有の「オルガンだけプリセットボリュームが破壊的にでかい」キ〇ガイ仕様もあいまって、特に使いやすいシロモノではないのだが、これがいま一番しっくりきている。その秘訣は「プレイアビリティ」にある。
プレイアビリティとは、つまり鍵盤そのものの性能のこと。各社はいかにピアノに近い弾き心地の鍵盤を作るかで必死に格闘しているようだが、ここに総重量という悪魔の制限が加わる。鍵盤のタッチをピアノ本来の鍵盤に近づけようとすればするほど、どうしても鍵盤自体が重くならざるをえない。鍵盤数は約70個くらいであるから、鍵盤の質にこだわればこだわるほど、総重量は加速度的に増加してしまう。つまりスタジオやライブハウスに持ち込むことが不可能な製品になってしまうのだ。その総重量とのバランスを見事に制したのがRoland RD-64だった、とぼくは思ったわけだ。


ぼくが持っていたNordのハード鍵盤も悪くなかったのだが、やはりRolandのピアノタッチ鍵盤が一番しっくりきた。しかも、総重量が10kgそこそこで、このタッチの鍵盤というのは驚異的なスペックだ。他社製の本格的なピアノタッチ鍵盤シンセは、どう考えても20kgは超えてしまう。
結局のところ、とぼくが言ったのは、ライブやスタジオでのパフォーマンスを左右するのは音色の良さだけではないということ。むしろ鍵盤自体の弾きやすさこそが、ぼくの場合パフォーマンスに大きく影響してしまうことがわかったのだ。

 

蛇足になるが、シノバンをやるにあたって、予算6万くらいのKORG社のKROSSの安いやつや、YAMAHA社のMX61を買おうと思っていた。チープでありながら多様な音の出るコスパ型万能シンセが欲しかったのだ。特に、MX61は本当にいいなと思ったので、こいつを買うつもりで楽器屋のシンセコーナーにいった。
しかし、実際に購入したのはまたもやRoland社の、GO KEYSという製品である。理由はよくわからないが、とにかく一番しっくりきた。

結局のところ、ぼくはRoland社の製品に行きついてしまうのだろうか―そう思ってしまう出来事だった。